手織り絨毯の小話
手織り絨毯はトルコ、イラン、アフガニスタンが三大産地です。
一括りに手織り絨毯と言ってもそれぞれ特色がありますので、それを知ることによってインテリアに合わせる際のヒントになれば幸いです。
魔法の絨毯
一枚の絨毯は平面ですが、お部屋に敷くと絨毯回りのインテリアを色めき立たせてくれます。
夏に絨毯を敷くと暑いのでは?と思われがちですが、実は純毛の草木染め絨毯は通気性に優れているので、夏でもひんやり、冬は暖かく、一年を通してお使いいただけるのも魅力です。
羊毛が持つ油分のおかげで汚れも付きにくく、毎日のお手入れもラクチン。掃除機だけで清潔に保てます。
そして経年変化で色つやが増し、使えば使うほど味わい深く変化していきます。
イラン(ペルシャ)手織り絨毯
イラン(ペルシャ)手織り絨毯には、工房系と遊牧民系があります。
都市型工房系のペルシャ絨毯、遊牧民系のギャッベがこれにあたります。
▶都市型工房系
鳥獣を好み、叙情的な自然の情景を巧みに表現するなど現在では絵画的な図案も少なくありません。
デザインは洗練され繊細で多用です。絨毯の結び目は遊牧民系が1cm四方の中に10~30くらいに対して、工房物は1cm四方に100以上のものが多々あります。緻密であればあるほど、きれいな曲線が描け、面を柄で埋めつくすのも美の表現のひとつになります。オールシルクの美しい光沢の甘美で華麗な世界を醸し出してあるものもあります。
<特徴>
・柔らかな曲線
・緻密な具象的デザイン
・色彩は華麗で多彩
・繊細にして洗練された構成
▶遊牧民系(ギャッベ)
イラン南のオアシス都市 シラーズ周辺の遊牧民の絨毯をギャッベと言います。「毛足が長い」と言う意味を持つ絨毯です。羊と共に移動して暮らす遊牧民が、自分達の生活用具として作った織物です。
<特徴>
・子供が描いたような作為のない素朴なデザイン
・「生命の樹」には家族の長寿や健康、「鹿」には家族円満など、単純に見える模様に様々な願いが込められている
トルコ手織り絨毯
トルコ絨毯の魅力は、なんといっても色柄の多彩さです。
華麗な色彩の中に伝統的なモチーフやパターンが伝承されながらも、大胆にデフォルメされたものや、ユニークで独特な色使いのものが数多く織られてきました。
アフガニスタン手織り絨毯
・花と木に象徴された緑したたる大地
・富をもたらす家畜の豊穣
・一族の繁栄
・紋章
これらを織り出しているのが、アフガニスタン絨毯です。
濃紺+こげ茶色や 渋い色合いの茜赤などを合わせたシックなデザインが特徴です。
そのなかに少量のベージュや白がアクセントになっているものもあります。
赤と黒だけの単色二色の中に、象の足跡を八角形で描いたフィルポイ(象足紋様)などは、日本の侘び寂びに通じるものがあり、日本の伝統美「和」の空間に通じる絨毯も多数存在しています。